「一段」は、数字を1増やすことではない

ニコンはF1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8などの並びを示し、絞りを一段絞ると光の量が半分になると説明しています。ニコン:絞り値の変わり方

F4からF8までは、途中のF5.6を通る2段です。F4の光量を1とすれば、一段目で1/2、二段目で1/2×1/2=1/4になります。「8÷4=2だから光も半分」とは計算しません。

なお、カメラのダイヤル一回が一段とは限りません。同じ資料には、F4、F4.5、F5、F5.6という1/3段刻みの表示例もあります。ダイヤルを3回動かして一段になる設定なら、一回の操作と一段を混同しないようにします。

1/250秒を基準にすると、必要な時間が分かる

次は編集部による仮想例です。同じ被写体、同じ照明、固定ISO、フラッシュなしで、F4・1/250秒の露出を基準にします。絞りを変えた分だけ時間で補うと、次の計算になります。

絞りF4に対する光量の目安必要な時間の計算シャッター速度の目安
F41基準1/250秒
F5.61/21/250×21/125秒
F81/41/250×4=0.016秒約1/60秒

最後の算術値は1/62.5秒です。カメラで一般的に選ぶ目安として約1/60秒と書いており、厳密に同じ数字ではありません。F値やシャッター速度の表示には丸めがあるため、この表も露出の段数を理解するための目安です。

0.004秒から0.016秒へ時間を延ばすと、光を集める時間は4倍になります。分母が小さくなる「1/60秒」のほうが長い時間だと分かれば、設定を逆方向に変える間違いを減らせます。

絞り優先で明るさが変わらないのはなぜ?

絞り優先オートでは、選んだF値に合わせてカメラがシャッター速度を決めます。そのため、F値を大きくしても、最終的な写真が単純に暗くなるとは限りません。ニコン:絞り優先オートとは

「F8にしても明るさが同じだった」ときは、撮影情報のシャッター速度も比較します。ISOの自動設定を使っていれば、上の固定ISOの計算とは前提が変わるので、ISOの値も一緒に記録します。F値だけを比較してカメラの動作がおかしいと決める前に、三つの数値を並べるのが有用です。

明るさをそろえても、写り方まで同じにはならない

F値を変えるとピントが合って見える範囲も変化します。ニコンの説明では、ほかの条件をそろえると、F値を大きくするほどその範囲が深くなります。ニコン:絞りと被写界深度

編集上の使い分けとして、背景まで見せたい場面で絞るなら、代わりに露光時間が長くなることも一緒に確認します。動く被写体に対して、その時間が希望する写り方に合うかは別の問題です。「明るさが同じだからどちらでもよい」とは判断できません。

自分で比較するときは、一定の照明の下で動かない身近な物を使い、F値・時間・ISOを記録する方法があります。本稿で撮影実験は行っていません。特定の速度なら手ブレしないという保証や、別レンズ同士の透過率まで同じという主張でもありません。

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情報は2026.10.10時点で確認しています。価格・仕様・安全情報は変更される場合があります。